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Let's play our music!【うた☆プリ】

第9章 素顔と音楽と



「ん…、?」

「おや、お目覚めかい?レディ」

「神宮寺、さん…?」


私が目を覚ましたのは柔らかなベッドの上。

学園のそれとは違う上質な布の感触に首を傾げながら目を開けると、


「って、えぇ?!」


目の前に微笑む神宮寺さんの顔があった。
頬杖をついて私を見つめるその瞳は何だか楽しそうに輝いている。

「え、なんで…へ?」

「落ち着いてレディ…慌てる君も珍しくて可愛らしいけど説明させてくれないかな?」

「甘い言葉はいらないから説明して下さい…」

いつも通りの神宮寺さんの甘い言葉だが、寝起きの頭にその強烈さはきつい。

というか間近で言われると本当に恥ずかしかった。

赤い顔を見られないように毛布で顔を隠しながらも聞く姿勢を見せると、彼は漸く話し始める。


どうやら私は砂月さんの歌の途中に気を失ったらしい。

翔が神宮寺さんと連絡を取って迎えに来てもらったところ、私の体調を心配して彼の別宅で休ませることになったそうだ。

私たち以外は学園に戻ったという。

砂月さんに眼鏡をかけられたか不安だったが、彼の話を聞くあたり四ノ宮さんに戻っていたらしい。

とりあえず一安心だった。


「そっか…ありがとう、神宮寺さん。ご迷惑かけました」

「迷惑なんて思ってないよ、ずっと君の寝顔も見れてたしね」

「うん、なら良かっ…は?」


とんでもない発言を聞いた気がする。

相変わらず神宮寺さんはにこにことしていたけれど、その笑顔が今は嫌な予感の種でしかない。


「あの、私を運んでくれたのって…」

「もちろん俺だよ」


予感は当たった。

御曹司に力仕事をさせてしまった。
それを認識した瞬間の私の行動は迅速だった。

「ごめんなさい」

「いや謝らないで…そして出来れば土下座をやめてくれないかなレディ?」

すぐにベッドの上で彼に頭を下げたのである。

ベッドを借り、眠っていただけでなく彼に運んでもらっていたなんて、世話になりすぎている。

神宮寺さんはずいぶん困惑していたけれど、やがてくすりと笑った。


「?どうかした?」

「いや、レディが…突然変わったと思ってね」
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