Let's play our music!【うた☆プリ】
第7章 本当の自分
「おはよう、!治ってよかったね」
「おはよ、昨日はありがとう、友ちゃん」
後日、熱も下がった私は華と一緒に朝食を取りに来た。
今日は休日。
先日メールで翔が誘ってくれたのに乗って、彼と出かける約束をしていた。
のだが。
「翔が来てない…」
いつもならこの時間には既に彼は食堂にいる。
なのに彼の金髪も帽子も、ちらりとも見えなかった。
「どうしたんだろ…」
「来てないといえば、春歌もいないね」
私と一緒に首をかしげてそういったのは華で、言われてみれば彼女もいなかった。
「春歌はね…今日出掛けるからうきうき準備してるよ」
同室の友ちゃんの方を見ると、彼女は肩をすくめて答える。
彼女の話によると、春歌は今日大ファンであるHAYATOのライブに行くらしい。
その楽しみにしてる具合といえば彼女にしては珍しく朝から鼻歌を歌い、着る服を念入りに選ぶほどだそう。
「へぇ、ライブか」
「春歌ってHAYATOのファンだったんだ〜、なんか意外」
HAYATOというのは若い年代を中心に支持を集めるアイドルで、最近はわりとコミカルなキャラクターを売りとしている。
しかし彼の歌唱力は非常に高く、それでファンになって人も多いとか。
おそらく春歌もそのタイプだろう。
それから何となくHAYATOの話をしていると、神宮寺さんがやってきた。
「おはよう、レディ」
「神宮寺さん、おはよう」
「ちょっとレンくん、私には?」
にこやかに挨拶を交わすものの、彼の顔を見た瞬間この間の密着を思い出し、急に暑くなってきた。
華に不審がられてしまうから、普段通り接しないと。
そう思いながら、華に挨拶をしなかった神宮寺さんに噛み付く彼女の後ろで頬を抑えて深呼吸を繰り返した。
その時、聞き覚えのある着信音が鳴った。
というか私の着信音だった。
「あれ、翔からだ」
メールにはとある場所に今すぐ来て欲しいと書いてあった。
「どうしたんだろ…とりあえず行ってくるね!」
「いってらっしゃーい!」
突然の連絡に驚くものの、急ぎのようなら早くしないとまずいと華や友ちゃんに手を振って走り出す。
「……翔、ね」
「?どうしたのレンくん」
「いや、いつのまに彼女とおチビちゃんはそんなに仲良くなったのかと思ってね。
………俺もまだ名前で呼ばれてないってのに、ね」