Let's play our music!【うた☆プリ】
第5章 信じてる
帰り道、翔くん改め翔は私を寮まで送ってくれた。
あの後課題の方もテーマを具体化して、作曲のイメージが湧きやすいところまで決めた。
後は各自フレーズを考えたり、メロディーを考えたりして、良いものをさらに膨らませていく。
少しでも私がやりやすいようにと知恵を絞ってくれた彼には感謝しかない。
「ありがと、翔」
「…あの、さ」
改めて頭を下げると、翔はやめろよと照れたように頭を掻く。
しかし、その後少し真面目な顔になった。
「何?」
「レンの、ことだけど…」
「…」
「信じてようぜ、あいつのこと。必ずここに残るって」
あいつは、仲間だしな。
そう言って笑う彼の顔は不安なんてなくて。
「……うんっ!」
だから私も信じよう、彼を。
翔が、春歌が、皆が仲間と思い心配する彼を。
やっぱり、あのサックスに嘘はなかったと、私も思うから。
「あ、それとな」
去り際、途中で思い出したようにこちらを振り返った翔は手を振って叫ぶ。
「俺、お前のことも信じてるからな!良い曲作るって!」
「……え?」
「お前も、仲間だからな!」
「…っ、うん!」
胸に温かいものが広がる。
信じてもらえるということは、こんなにも嬉しいものかと実感した。
仲間と言ってもらえることが、こんなにも幸せかと。
この人達に仲間と思われていたことが、嬉しくて仕方なかった。
さっきまで散々泣いたのに、また目頭に熱いものがこみ上げる。
彼の信頼に精一杯応えたくて。
私に出来る最大級の笑顔で、手を振り返した。