Let's play our music!【うた☆プリ】
第4章 それが芸能界
教室に戻ってくると、教室内の生徒の視線が私に向いた。
私を不安げに見つめる華、翔くん。
気にしていないように女子と話す神宮寺さん。
そして無関心に読書をする一之瀬さん。
この人達にも、噂は届いているのだろう。
それこそ華や翔くんは真っ向から否定していそうだ。
その気持ちはものすごくありがたいし、嬉しい。
でもそれに頼っちゃいけないんだ。
誰かが言ってくれて黙る噂なんてない。
なら、今度こそ自分の実力で黙らせるしかない。
私の作品は私自身のものであると。
宣戦布告のようにその視線全てを見つめ返す。
やましいことなんてしてない、そう告げるように。
「!」
「ありがとう、華。翔くんも」
「…大丈夫か?」
「もちろん、こんなことに負けてられないよ」
強気な発言にようやく2人は安心したらしい。
それでこそと抱きしめてくれた華の温もりに優しさを感じた。
「次は俺と組もうぜ、」
「翔くん?」
「お前の曲が嘘でないって証明してやろう!」
「…ありがとう」
へへっと笑う翔くんと握手を交わす。
そこで講師の方が入ってきて授業が始まったが、今の私に怖いものなんてないように思えた。
のだが。
「では今組んだペアで、配ったプリントのテーマに沿った楽曲を作ること!」
怖いものを課題にされてしまった。
こんな時に…!
歯軋りして机に拳を叩きつける私を、皆が心配そうに見ていた。