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Let's play our music!【うた☆プリ】

第23章 彼らの名は




麗奈の言った通り、歌う意味を見つけた後の日々はめまぐるしかった。

1度分かってしまえば、自分がどんな歌を歌いたいかは手に取るように理解できてすぐに彼女が形にしてくれる。
あとはそれをひたすらに歌いこんで、練り込んで。

たくさんの思いと言葉を乗せた。
麗奈と曲を作るのは久々だったけど、こうして曲の議論をしているときの充実感はあの時の比ではない。
明確に自分の表現したいものがある今の私は議論にも熱が入ったし、作詞もなんども書き直した。

今までが適当だったわけじゃないけど、全力でもなかったことをここで知った。
あの時も、そして今も、やれることはたくさんあったのだから。



「……あ、あの!寿さん!」

「んー?どうしたの、ちゃん、ぼくちんに何か用?」

「お願いがあるんです。私に…ボイストレーニングを教えて下さい」



声の出し方さえ自己流だったから、そこはそばにいるプロたちの力を借りることにした。
本を読むよりも実践した方が間違いなく覚えられるし分かりやすい。
彼らも彼らで曲製作は忙しそうだったけど、私の頼みを聞き入れてくれた。


最初は元々知り合いで話しかけやすかった寿さんに。

でもやっていくにつれて、他の皆さんも参加してくれるようになった。

黒崎さんも、美風さんも、カミュさんも。
私にたくさんのことを教えてくれた。


もう手遅れかもしれない私に。
そう呟くと、黒崎さんが軽く私の頭を叩く。


「バカ言ってんじゃねぇよ。お前はまだ期待されてる、だからまだ希望があんだろうが」

「俺たちが教えているのだ。結果を出してもらわねば俺たちの名に傷がつく」

「今はまだ成功するかは五分五分だけど、君の努力次第でどうにでもなるよ。データは確かにそう言ってる」

「君が自分を卑下しちゃダメだよ。自信を持って!君は誰よりも輝ける、素敵な宝石なんだから」



最初はちょっと怖い印象もあった皆さんだけど、本当はとても後輩思いで優しい人たちだとこの合宿で知った。

何度も諦めそうになる私を叱咤して、思い通りの声が出た時は満足そうに微笑んでくれて。


ほんの数日の関わりの中で、とても濃い時間を共にした。
この人たちと、同じステージに立てることを心底光栄に思う。


そしていつかは、自分の力で彼らと共に歌いたいと思った。
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