Let's play our music!【うた☆プリ】
第22章 気付けなかったもの
“また歌ってくれることを待っています”
たくさんの手紙の中にその言葉は書かれていた。
最初に危惧した通りの非難の言葉ももちろんあったけど、それを上回る肯定の言葉が届けられていた。
たくさんの人が、アイドルの""を好きになってくれていた。
私は、こんなにもたくさんの人の想いに気づけていなかったのか。
私は、こんなにもたくさんの人を待たせているのか。
私は____________。
「、夕食の支度が…?」
数回のノックの後、部屋に入ってきた麗奈が返事のしない私の顔を覗き込んでくる。
どんな表情をすればいいかわからなくて、ただ握っていた手紙を差し出しただけだったけれど、彼女はそれで察したようだった。
私の目尻を指で拭うと、反対の手でそっと頭を撫でてくれる。
「あなたは自分のアイドルとしての評価が分からないと言っていたけれど、そんな絶対的なものはないわ。けれど……これだけあなたを愛してくれる人がいるだけで良いじゃない。それこそ、あなたがアイドルとして存在する意味だわ」
力をくれるファンのため。
もっと喜んでほしいから、そしてもっと愛してほしいから。
アイドルは、更に進化して光り輝く。
やっと、分かった。
「…たくさんの人が、私を待ってくれている。2度と人前に立つ気のなかったこんな私を…好きになってくれた人がいる」
この時期にファンレターを渡してきた麗奈は正しかった。
昔の私ならもっとひねくれた受け取り方をして、こんな気分にはなれなかっただろうから。
この有り難みを、理解出来なかっただろうから。
「見つかった?あなたの歌う意味」
麗奈の問いに、私は笑って答える。
「私は、私を待ってくれている人のために…応援してくれている人たちのために歌うよ」
私の精一杯の感謝を込めて。
満足そうに頷いた麗奈に、これから忙しくなりそうねと肩を叩かれた。