Let's play our music!【うた☆プリ】
第18章 ペア
トキヤと別れ、自室でひたすらに課題をやり続けて数時間。
気がついたら夜が明けていた。
焦れば焦るほど課題が頭に入ってこなくて、ようやく納得のいくものが出来た頃、外は朝焼けが美しかった。
「…出しに行こう」
ここで寝てもいいのだが、そのまま寝過ごして締め切りである午後を過ぎると怖い。
あと少しだと己を叱咤して眠気を無理やり追い出すと、そのまま上着と課題だけを持って外に出た。
外のひんやりとした風に少し震える。
日差しがまだそれほど出ていないからか、いつもより肌寒く感じる気候。
手に持っていた上着を身に纏い、先生方が泊まっているコテージへと歩みを進めた。
位置的に私たちが泊まっている所と先生方が泊まっているコテージはわりと離れている。
海の上に立っている生徒達が泊まっているコテージ同士を繋ぐ橋をとことこと歩いていると、ちょうど神宮寺さん達の泊まっている部屋を通り過ぎた。
今日、ここで眠っている人に申し込むのだ。
そう考えると途端に鼓動を早める心臓に手を置いて、ゆっくりと息を吐く。
今から緊張したって仕方がないと、落ち着かせるように。
そうして歩いていると、やがて目的地に辿り着いた。
ノックをしようと扉に近づいたものの、その手は戸を叩くことなく止まる。
中から先生方の声が聞こえたからだ。
普通なら盗み聞きも趣味じゃないとそのまま自身の存在を告げるのだが、この時ばかりはそうじゃなかった。
「ちゃんは誰とペアを組むのかしらね〜?やっぱりレンくんかしら?」
話題の中心人物として私の名が挙がっていたのだ。
「あの2人、結構相性良いと思うのよね…龍也もそう思うでしょ?」
林檎先生の言葉に顔が熱くなる。
自分の希望を見抜かれていたということもあったが、何より彼と私が合っていると言われたことに照れた。
他からもそう思われているのだろうか。
だとしたら…。
勇気を貰えた気分になり、笑みをこぼした私はこれ以上聞くのはやめようと顔を上げた。
「…いや、神宮寺はを選ばないだろうな」
その笑みも、龍也先生のその予想によって固まったが。