Let's play our music!【うた☆プリ】
第15章 あの人の正体
トキヤの席を離れると春歌と目が合った。
静かに首を振ると、彼女は目に見えて心配そうに顔を歪める。
「春歌がそんな気にすることじゃないよ」
「…ちゃん、一ノ瀬さんと仲が良いの?」
「そんなに仲良いわけじゃないよ。皆と同じ。仲間であって、友達ってだけ」
そっかと無理した笑顔を作る春歌は見ていていたたまれなかった。
それが彼女のいいところとはいえ、人のことを気にかけすぎる。
そこが人を惹きつけているとはいえ、人の苦しみに寄り添いすぎる。
それがいつか、彼女を壊してしまわないか不安に思えた。
「なっなみー!!買い物楽しみだね!」
「は、はい!一十木くんは何を買うんですか?」
「俺?俺は、お菓子かな!」
「何しに行くのよ…」
しかし、そんな心配は杞憂だとすぐに分かった。
彼女がどれだけ人の苦しみを思っても、気にかけても、それを一緒に背負ってくれる人がいると、思い出したから。
ほら、もう彼女は笑顔だ。
「皆参加だって」
「おう!賑やかになりそうだな〜」
「そうね、確かに大所帯すぎるかも…」
調子に乗って誘いすぎたようだ。
計9人、これだけの人数が街を歩いていたら迷子のオンパレードだろう。
ただでさえ顔がいい人たちが揃っているのだ、あまり固まらないほうがいいかもしれない。
「それなら、俺にいい考えがあるよ」
どうしようかと考え込む私や翔、華。
そんな中、ある提案をしてきた神宮寺さんは、誰もが卒倒するレベルの破壊力のウインクをかました。