第7章 誰かの雨 神田夢
きれいな空だった。
破壊されたAKUMAが積み上げられたゴミ山の上で私は空を見ていた。今日はきれいな青空だ。晴れ渡る、という言葉がとても似合う日だった。
だが、見上げている私の額や髪にぽつぽつと液体が落ちてくる。生暖かいそれは体を這うようにまとわりついて私の体を濡らしていく。
ファインダーが遠くから体に毒だから早くその場から離れろ叫んでいる。だが、私はそれを無視した。なかなか止まない雨に私は呆けたように見続けた。
降っているのはAKUMAの血だ。ついさっき私が破壊した奴は飛行するタイプだったので、遠距離から破壊したのだ。勢いよく爆発させてしまったので血が雨のように降りしきっているのだ。
個体が肥え過ぎた豚のように大きかったせいでもあるが血が多かったのかもしれない。
寄生型の私にはAKUMAの血なんてただの液体に過ぎない。彼らの最後なんてまるで興味がないが、もし自分が同じ目に遭ったらどうなるのだろうかという疑問が頭から離れず動けなかった。
黒い血は恨みがこもっているのか、生きていたの証明なのか、それは妙に人と同じような体温を持っている。
ぼうっと眺めていると視界がぐらついた。腕を誰かに掴まれたのだ。その先に視線を向けると神田が険しい表情でこちらを見ていた。