第3章 いつか見た夢のように儚く TOA ガイ夢
ヴァンにはこのことを言わないでおこう。最近ヴァンはすこし変わっていっている気がする。
もしかすると彼女の身に危険が及ぶかもしれない。そう考えて何とも言えない気持ちになって苦笑する。憎い相手の娘の心配なんてしてどうするのだ。ルークや秋良の顔が浮かぶ。
憎い相手の子供なんだと言い聞かせる。
けれど、けれども胸の内に秘めておこう。彼女との約束通りに。
ここはさんさんと日が差してその分自分の真っ暗な影がよく見える。見えすぎる。
ここは穏やかに日々が過ぎていく。そして緩やかにオレの憎しみが消えてしまえばいいのにと願った。