第12章 赤い夫とキセキとの別れ
「早く服を着ろ。風邪をひく」
『そういう征十郎も』
「はいはい」
私はすぐに服を着替えてリビングへと急いだ。
スースー。ガーゴー。
リビングにはいびきと鼻息の大合唱だった。
『皆まだ寝てる………』
「やっぱりな」
『え。知ってたの?』
「中学の合宿で俺が皆を叩き起こしていたからね」
『うわ。想像できる』
『じゃあご飯作ろうか。匂いで起きるだろうし。征十郎もご飯作るの手伝ってくれる?』
「ああ。よろこんで」
征十郎は微笑んで言った。
「で、何を作るんだい?」
『サラダとフレンチトースト。あと果物』
「だから食パンを大量に買ってたのか」
『そうそう。昨日のうちに漬けといたから焼くだけだよ』
「じゃあ俺はサラダを作るよ」
『ありがと』
私たちは朝食の用意を始めた。