第23章 赤い夫とのプロポーズ?
『ごめ、なさっ……』
私は生理的な涙を流すと征十郎はゆっくりと首から唇を離し、手で私の涙を拭う。
「分かってくれたならいいよ」
征十郎は私の頬を優しく撫でた。
『……いきなり怒ってびっくりした』
「怒ってないよ。むかついただけだ」
征十郎はふいと横を向いて言った。
『怒ったのと一緒!!』
「美桜が他の男をかっこいいって言うからだ」
征十郎の唇が少し突き出しているように見える。横を向いているからだろうか。分かりやすい。
『え、ちょっと待って、拗ねてる?』
私笑いを堪えて肩を震わせながら言った。
「……拗ねてないよ」
『絶対拗ねてるって!だって実渕先輩だよ?女子より女子力あるんだよ?そんな先輩がバスケしてる姿はかっこいいとしか言えへんでしょ』
「それでも駄目だ」
『もーーー』
これ以上言っても埒が明かないと思ったので征十郎をそっと抱きしめた。