第4章 赤い夫との夜
「くすっ。ごめんね」
征十郎は私の髪をすくいながら言った。
「苦手?」
『…………いきなりだったから驚いてむせただけ』
「本当かい?」
私は顔を上げて征十郎の顔を見て言った。
『ほんまです……………』
「じゃあいきなりでなければいいんだね?」
征十郎は不敵な笑みを浮かべて言った。
『ど、どうぞ?』
すると征十郎は私を仰向けにして上に倒れて耳元で
「じゃあ遠慮なく」
と言った。私はくすぐったいのと少し怖くなり身をよじった。
「逃げるな。お前が言ったんだろう?」
私は意地を張るんじゃなかったと後から少し後悔した。