第21章 赤い夫との結婚
~征十郎目線~
俺自信も驚いた。
美桜が食べている顔、美味しいという顔。その顔を毎日見たい、させてあげたいと思った。そして気づいた時には"結婚しよう"と言っていた。
美桜が混乱しているのは見ているだけで充分わかった。
「…………美桜?」
さすがにもう頭の整理がついた頃だと思い俺は声をかけた。
「返事……もらってもいいかい?」
美桜の肩が小さくピクッと跳ねる。
俺もこの時はとても緊張していた。美桜の口からどんな言葉が出るのか、YESなのかNOなのか。少し恐怖心も抱いていたかもしれない。
『……あ、あかし、くん』
美桜が下を向いて俺の名前を呼ぶ。
『ご、ごめんなさい!!!』
「………………………………え?」
俺は何を言われたのかわからなかった。
~美桜目線~
私は悩んだ。正直嬉しい。とてつもなく嬉しい。
その感情だけならすぐに"はい"と応えていた。だが、それをすぐに言わせない感情があった。
恐怖
それが、私の嬉しいという感情に巻きついた。