第21章 赤い夫との結婚
『ごめん。お待たせ』
私は外を見ていた征十郎に声をかけた。
「ああ。大丈夫だったか?」
征十郎は私の目をじっと見て言った。
『うん。化粧直しに時間かかって』
私は少し微笑んで、席へと座る。
「そうか。もうそろそろ料理が運ばれてくると思うよ」
『やった!楽しみ』
そしてすぐに前菜のサラダが運ばれてきた。
スープも運ばれてきて、どれも美味しかった。
「メインの焼肉です」
店員さんが私の前にお肉を置いた。
私はテレビでやっていたやつで、征十郎は塩ダレだ。
『ありがとうございます…………』
私はあまりの見た目の美味しさに言葉を失っていた。
「美桜の目がキラキラしてる」
征十郎は口に手を当てて笑いを堪えながら言った。
『だって、テレビで見たやつが目の前に……』
「早く冷めないうちに食べろ」
『うん!!いただきます!』
私は一口大に切られているお肉をお箸で持ち、少し塩をつけて口の中へ入れた。
「どうだ?」
『…………美味しいです!』
「もう顔に大きく美味しいと書いてあるよ」
征十郎は笑いながら言った。