第3章 赤い夫との会社
覗きこまれて顔の距離は10cmぐらいになった。私は両手で征十郎の頬を挟んだ。
「なんだっ………………」
私は征十郎が言い切らないうちに征十郎の顔を近づけ、唇を押し当てた。
うっすらと目を開けると征十郎は驚いて目を見開いていた。だが、すぐに目を閉じた。
私は唇をちょっと離してもう一度つけた。もういいだろうと離そうとすると征十郎が手を私の頭後ろへと置き、離れない。
『んーー!!んーーー!』
私はバシバシと肩を叩いたが離してくれない。
ちょっと疲れ癒やそうと思っただけやのに。もう絶対自分からキスしいひん。
私はそう心に誓った。たぶん無理だが。
それからは全然離してくれなくてずっと抵抗していたのだが、扉をノックされたので離してくれた。征十郎の顔は少し機嫌が悪かった。