第12章 12
「なんだか緊張します…」
「人前で歌うほうが緊張しそうなもんだけど」
「それとこれとは別です!」
「そうなの?」
吉祥寺にあるサンライズ・レジデンスというマンションのエレベーターの中、私の心臓は爆発しそうなほど脈を打っている。
とうとう5階につき、扉が開く。
階段を降りると、きれいなリビングが広がっていた。
机の上には美味しそうなパスタ。
「ただいまー。誰かいる?」
「おかえりなさい…って光さん?帰ってくるなんて珍しいですね」
「あら、妹サン。学校は…って、今日は日曜だったっけ」
「はい、学校はお休みです」
朝比奈さんが妹サン、と呼んだ人は茶色い髪をサイドポニーにした可愛らしい女の子だった。
「おかえり、光。今日は風斗と要と昴以外はみんないるよ。棗も帰ってきてるんだ」
キッチンから男の人が顔を出してそういった。
「雅兄が手伝い?…妹サン、邪魔になってない?」
「そ、そんなことないです!とても助かっています!」
妹さんは顔を赤らめてそう言った。