第8章 8
朝日が瞼越しに目を刺激するのがわかる。
私は目を開けた。
「ここは…」
昨日、久しぶりに酔うまでお酒を飲んだのは覚えている。
どうやって家に帰ったんだろう?
ゴロ、と寝返りを打ち周りを見渡すと、見知らぬ家具だらけだった。
「えっ…ここ、どこ…?」
ギィ、と扉の開く音がした。
慌てて扉の方を向く。
「おはよう。よく眠れた?」
「え…あ…」
声も出ない。
なぜか朝日奈さんがいるのだから。
「どうかした?そんな可愛い顔して」
朝日奈さんが私のすぐ横に腰掛け、髪を撫でる。
「また襲われたいの?」
ぐっと低く、甘く響く声だ。
「ま、また…?」
「覚えてないの?昨日のこと」
切なそうな掠れた声で朝日奈さんが言う。
冷や汗が背中を伝う感覚。
思い出そうにも頭が回らない。
私が微動だにせず大パニックを起こしていると、朝日奈さんはたまらず吹き出し、大笑いをした。
「冗談だよ。ほんと素直。俺はさっきまで仕事してたし、仮眠も客間のソファで済ませたから」
そう言って朝日奈さんは冷たい水を出してくれた。
急いで起き上がろうとするが、鈍い頭痛が走り、力が入らない。
「二日酔い?まぁあんな飲み方してたしな。当然か」
ベッドサイドに水を置いて、朝日奈さんはベッドに腰掛けた。
「すみません…すぐ帰りますので」
私はゆっくりと上体を起こそうとした。