第2章 2
「さくらの準備も終わったことだし、今度はアタシの番ね。時間になったら迎えにいくわ。ちゃんとワンピースに着替えておくのよ?」
「えっ?あの…」
それじゃ、と朝日奈さんは大きな化粧ボックスを抱えて部屋から出て行ってしまった。
アタシの番、とは。
もっと美しい姿になってやってくるのだろうか?
あれから2時間。ドアがノックされた。
「Si?」(はい?)
ドアを開けると、きちんとした身なりの髪の長い男の人が立っていた。
「…Chi…Chi e`?」(ど…どちらさまですか?)
そう訪ねると、彼はもう耐えられない、とばかりに吹き出した。
その笑顔はとても見覚えのあるものだ。
「あっ!朝日奈さん!?」
「さくらと会うときは女装してる時ばっかりだったね。ごめんごめん」
セットされた髪を崩さないように軽く頭を撫でられる。
何度かされた覚えのあるスキンシップとは言え、男の人の姿でされると心臓がドキドキと落ち着かない。
「さ、行こうか」
私はその言葉のまま、朝日奈さんにエスコートされ、車でレストランへと向かった。