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four plus one

第2章 苦しみを忘れた少女



 ミルトside

 窓から朝日が燦々と降り注ぐ廊下。それをゆっくりと歩きながら麗華様の部屋を目指す。

 コツっコツっという足音が響き「この音で目を覚ましてしまうかな…」と毎度のことだが思う。

 そして毎度のこと、元々麗華さまは起きているのだが。

 「失礼します」

 コンコンと小さくノックをする。すると中から「起きてるわ」という声が聞こえた。
 部屋に入ると、麗華様がドレスを着てベッドに座っていた。
 「おはようございます」
 「おはよう。今日の予定は貿易の指示だけでいいのよね?」
 まとめた髪の毛を気にしながらこちらに問うと、麗華様はスッと立ちあがった。
 「はい。東区のディラという町の、ワインなどの輸出が主になっています」
 麗華様は「そうか」とだけ言うと、スタスタと部屋から出た。私はそれを急いで追いかける。
 「朝食が済んだら準備をしておいて」
 「かしこまりました」

 食堂に付くと、麗華さまは所定の位置へ座ろうとする…が。
 「麗華ー!!……イタッ!!!」
 いつものように麗華様に飛びつこうとするへクターを、麗華様が顔面ビンタを食らわせる。

 「お前は毎朝それをしないと気が済まないのか…?」

 麗華様はため息交じりに言うと、椅子に腰かける。

 「イタタ…。前よりビンタが強くなった気がする…」

 へクターが頬をさすっていると、エリックが笑いながら厨房から出てくる。
 「当たり前でしょ? 「戦場で指揮をしたい」って言うから俺が剣教えてるんだぜ? そりゃ強くなのますって! ねぇ麗華ちゃん?」
 「半分以上お前の自慢じゃないか」
 それを聞いて冷たく言い離すルーファス。

 3人のやりとりを麗華様は無表情で見ながら食事をとる。

 「とりあえず、今日は予定がそこまで詰まっても無いから、全員出来るだけ休め」

 いつのまに食べ終わったのか、麗華様は口元を拭きながら指示を出した。

 「「「「はい」」」」





 ほとんど変わらない一日だと思っていたのが……。




































 大きな間違いだった。







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