第15章 ➕じはーど
でも長年の癖は抜けず無意識にやってしまうのだ。
大体は気が付いて外すのだが。
今日はそのままにしてしまった。
「話せばアイツだって解ってくれただろう?」
岩泉さんに云われて頷く。
「でも、何か云えなくて」
――昔男の人にいたずらされたのが怖いからだなんて。
「じゃあなんで俺には話す?」
「岩泉さんには何か話してもいいかなって」
お兄さんみたいで、話しても大丈夫な気がした。
「そんな事を云うと弱味につけこむぞ」
肩に腕を回される。
私はお酒を一口飲む。
何も食べず空きっ腹に流し込んだせいで酔いが私の意識を混濁させる。