第15章 ➕じはーど
――それは小学校に入学したばかりの頃。
死んだ父の生家を母と追い出され二人で住んでいた頃の事。
働く母の帰りは遅く私は学校から帰ると一人で留守番をしていた。
玄関にはいつも鍵をかけていたつもりだった、のだけれど。
その日は開いていて。
入ってきた男の人は玄関の開く音に出てきた私の体を…。
「泣くな、興奮する」
岩泉さんは云いながら頭を撫でてくれる。
言葉とは裏腹な優しい手つきに私は肩にもたれた。
「意味は分からなかったけど、イケナイコトなんだって怖くなって、私夜尿症になってしまって」
以来、一人でいる時にはチェーンをかけるように母に云われ、癖になった。
徹さんと暮らし出してからはやらないように気を付けていた。