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melancholia syndrome

第4章 波乱の一泊二日


「…バレてました?」

ドアを控えめに開ける五十嵐君達の姿があった。

「九条さんっ……!」

真っ先に東雲さんが私の元へ駆け寄ってきた。

「東雲さん…」

東雲さんは私の手をぎゅっと握ると瞳に涙を溜めて私を見つめた。

「私ね、すっごく心配したんだよ?九条さんに何かあったらって怖くて……」
「東雲さん…」

ぎゅうっと私を抱きしめると東雲さんはポロポロと泣き始めた。

その手は微かに震えていて私は温かいな、そう思った。

「でも、無事で良かった」

五十嵐君は小さく笑うとベッドに腰を下ろす。

「九条さんは1人じゃないんだよ、俺達の友達なんだから」
「はい…!」

優しい言葉に私はまた泣いてしまいそうだった。

懸命に涙を堪える私の姿を先生は小さく笑いながらポンとその手を私の頭へ乗せた。

優しく頭を撫でるその手は温かかった。

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波乱に満ちた親睦会はあっという間に終わりを告げた。

「唯!」
「あ!彩葉ちゃん!」

荷物をまとめる手を止めると彩葉ちゃんはパタパタと走って来た。

あの一件以来、私達は名前で呼び合う様になっていた。

「もう荷物まとめましたか?」
「今、終わったとこ。光輝達もバスで待ってるって」

彩葉ちゃんはそう言うと私の手を握り歩き出した。

「それより、敬語禁止って言ったのに!」

彩葉ちゃんはぷくーっと頬を膨らました。

「あ、ごめん…まだ慣れなくて…」

彩葉ちゃんは私ともっと仲良くなりたい、と敬語禁止令を出したのだ。

「ま、ちょっとずつでいいよ」
「うん、ありがと」

そんな風に談笑しながら帰りのバスに乗り込むと先に来ていた五十嵐君と友永君が手を振って私達を招いた。

「彩葉、九条!こっち、こっち!」

あれ以来、五十嵐君も私の苗字から"さん"を取るようになった。

少しの変化が私達の心を近付けた様で嬉しかった。

でも、こうなるにはきっと一人では無理だったと思う。

私達は五十嵐君達の近くの席に座ると再び4人で話し始める。

発車したバスに乗り私は密かに頭の隅で先生の事を考えていた。

きっと、先生がいたから上手くいったんだ。

遠ざかる景色を見つめ私はそう思った。
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