第3章 初めての友達
「で、ここまで確認出来たら因数分解を使う」
4月も半ば、ようやく学校にも慣れてきた。
相変わらず友達はいないが、どうにかやっていけていると思う。
今は数学の時間。
担当しているのは担任の和泉先生。
半月こうやって学校で過ごしてきて、アパートで過ごしてきて、何となく和泉先生の事が分かってきた。
アパートは一階に共同スペースというものがあって、そこで大家さんである戸塚(とづか)さんが毎朝料理を振舞ってくれる。
夜も同様。
二階の個人室に一つずつバス、トイレが付いており洗濯機は一階の共同スペースのものを使う事になっている。
干すのは個人室のベランダ。
後々に分かったのは先生が住むのは私の住む4号室の隣の3号室だということ。
お隣さんの先生とは何かと顔を合わす機会が多い。
引っ越して来てすぐの時、重い荷物を運んで貰ったり、気分を変えようと思いベランダへ出たらばったり顔を合わせたり。
いつの間にか私の生活の中には先生の存在があった。