【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第4章 出発
「と、いうことで
今回の合宿にビデオ係として同行してもらう立花美和さんです。」
出発前の深夜、全員の前で立花はみんなに改めて紹介された。
立花は深々とお辞儀をしてから、挨拶をした。
「私は、バレーのことは本当に素人です。でも、参加するからには役に立つ覚悟で来ました。ビデオ以外にも、私にできることがあればなんでも言ってください。よろしくお願いします。」
全員が「お願いシャス!!」と返事をする。
「うおぉービデオとかかっけぇー!」
テンションの上がった日向が声を上げる。
「ねえねえ、立花先輩!試しに俺のこと撮ってみてください!」
「そうだな!試し撮りは大事だな!!」
「俺も俺もー!」
バスに乗り込むなり、さっそく日向西谷田中の三人に囲まれる立花。
「あ、うん。いいよー。」
立花は鞄からビデオカメラを取り出した。
「おーい。そんな最初から飛ばしてるとバッテリー持たねえぞ。」
鵜飼が呆れたように指摘する。
「あ、大丈夫です。
滝ノ上さんが、予備のバッテリーも保存用DVDも大量に持たせてくれたので。」
そう言って立花は笑った。
「まじかよ。運転まで引き受けてくれて、ほんと助かるわ。」
「ビデオカメラも破格で譲っていただいて、
滝ノ上さんには足を向けて寝られませんね。」
鵜飼と武田先生は運転席に座る滝ノ上に礼を言った。
「いいっていいって、ずっと売れ残ってたやつを引き取ってもらえてこっちも助かったし。」
滝ノ上はそう言ってエンジンをかけた。
いよいよ出発だ。
ビデオを回している立花に向かってみんな楽しそうに手を振る。
その様子に澤村が慌てて寄ってきた。
「おいおい、こんなテンションじゃ東京まで持たないぞ。
立花、ビデオは到着まで禁止。
ほらお前ら、寝ていかなきゃ明日の練習バテるぞ。」
みんなは大人しく澤村の言葉に従った。