【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第5章 一日目 昼 (変なあだ名と赤葦の○○○疑惑)
「ここが、森然高校?」
到着して立花はあたりを見渡す。
「なんか、思ってたのと違いますね。東京ってもっとこう、コンクリートジャングル!てイメージでした。」
隣に立つ谷地の言葉に立花はうんうんと頷く。
「そりゃ、ここは、埼玉だから。」
清水は後ろから二人に声をかけた。
「え!?」
「東京じゃないんスか!?」
驚きの声を上げる二人を後目に、
清水はテキパキと荷物を運び出す。
「仁花ちゃん、これ持ってくれる?」
「はい!」
谷地は荷物を持って走って行った。
その時、立花の視界の端を何かが動いた気配がした。
(あれ?)
子猫だった。白い子猫。
(学校に子猫なんて、珍しい……。)
目でその動きを追っていると、清水から声をかけられた。
「美和ちゃんは、これお願いできる?」
「!?は、はい!……き、潔子さん!」
立花が恐る恐る名前を呼んだのがおかしかったのか、清水はクスリと笑った。
「なんか変。」
「だって、急に美和ちゃんなんて呼ばれたから……。
あ、全然、嫌とかじゃなくて、むしろ嬉しいので!
よ、よろしくお願いします!」
「菅原からいろいろ聞いた。困ったことあったら言ってね。」
「ありがとう。がんばります!」
「あと、潔子さんは、やめて。思い出す人物が2人ほどいるから。」
それがすぐに田中と西谷のことだとわかると、立花はおかしくて笑ってしまった。
「確かに……。じゃあ、潔子ちゃん?」
「うん。そのほうがいい。」
長い間不登校だった立花にとって、
同級生から名前で呼ばれるというのは久しぶりの感覚だった。
(仲良くなれたら、嬉しいな。)
そう思いながら立花は体育館に向かった。