【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第15章 最終日 (それぞれの)
「そういえば、結局いつからだったの?」
赤葦が戻ってくると、黒尾が肉を食べながら聞いた。
「木兎さんの言うとおり、最初から好みのタイプだなとは思ってましたよ。
はっきりと良いなと思ったのはもっと後ですけど。」
「ほー。分かんないもんだねぇ。
で、良かったの?
なんにも言ってないんだろ。」
「でも多分気づかれました。
彼女、やっぱり頭いいんですよ。」
「……だったらついでに連絡先くらい聞いちゃってもいいんじゃないの?
さっきの雰囲気ならそのくらいいけそうだったじゃん。」
赤葦は首を横に振る。
「あの人、俺が何言っても困った顔ばっかりするんですよ。
なのに烏野の副部長が現れた途端笑顔になるんです。
あーこりゃ無理だなって思いますって。
他の男と一緒にいるときの彼女が一番いいなって思うとか、
俺どんだけMなんですか。って話ですよ。
まあもう少し時間があれば手の打ちようもあったかもしれませんけど、
もう合宿も終わりですし、立花さん3年ですし、正式なマネージャーでもないみたいですし、
この先会うこともないでしょうね。
だからもうこれでいいんです。」
赤葦は言い切ってから、すっきりした表情を見せた。
黒尾は明るい声で言った。
「まあ元気出せって、白くて細くて弱い子、紹介してやるからさ。」
「あと、幼馴染のいない子でお願いします。」
赤葦にしては珍しく冗談に乗って笑った。
おう、まかせろ。と黒尾が赤葦の背中を叩いた。