【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第14章 五日目 夜 (きもだめし) 後編
まだ止まらない涙を拭っている立花を見ながら思ったことを言う。
「俺といるとき、いつも泣いてますね。」
「……そうかも。ごめん。」
「なんで謝るんですか。」
「めんどくさいでしょ。」
「この前のはうちの主将の責任ですし。
今は、まあどうせ俺ももう戻るだけなので。
別に大したことじゃないです。」
「あ、昼間の……意味わかった?」
思い出したように立花が聞く。
「分かりましたよ。びっくりしましたけど。」
「ごめんなさい。」
「もう、謝らないでください。俺は……。」
赤葦は何か言おうとしたが口を閉じた。
「なに?」
「とにかく、立花さんはもう謝らないでください。
それだけです。」
「……うん。」
よく意味が分からない立花は、首をかしげる。
「足、歩けますか?」
「うーん、がんばれば……。」
赤葦の力を借りて立ち上がると、立花は左足を引きずりながら数歩歩いてみせた。
「……乗ってください。」
「え、大丈夫だよ。ちょっと腕貸してもらえれば……。」
背を向けてしゃがんだ赤葦に、立花は戸惑う。
「早くしないとみんな心配しますから。」
その言葉に、立花は大人しく従った。
立花を背にのせて立ち上がって思わずつぶやく。
「うわ、かっる……。」
「あ、ごめ……」
「謝らないでって言いましたよね。」
「すいません……。」
赤葦はため息をついた。
「懐中電灯、持てますか?」
「うん。」
立花は、赤葦の右手に持っていたそれを両手で持って前を照らした。
「立花さん、木兎さんのこと、嫌いですか?」
立花が怖がっているので、気を紛らわすために何か話さねばと赤葦は口を開いた。
「嫌いじゃないよ。すごい人だなあとは思うし。」
「悪い人じゃないんです……て言っても、
なんの言い訳にもなってないですけど。」
「うん。分かる。もう本当に気にしてないから。大丈夫。」
そこで赤葦は少し迷いながら、話し始めた。
「あの、木兎さんから聞いたと思うんですけど、
たぶん信じてもらえてないと思うので、
もう一度ちゃんと俺から言ってもいいですか……。」