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【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)

第14章 五日目 夜 (きもだめし) 後編


「うわ、また派手にやってるな。手加減してやれよ……。」

三人の悲鳴を遠くに聞きながら、
赤葦は少し同情した。

しかし悲鳴とは別に、
何かが転がり落ちるような音を耳にして、
一気に嫌な予感がこみ上げる。

「おいおい、大丈夫か?」

赤葦は懐中電灯で照らしながら音のした方へ急いだ。

嫌な予感は的中した。階段の下で、誰かが座り込んでいる。

すぐにそれが立花だと分かると、赤葦はそっと声をかける。

「大丈夫ですか……?」

すると立花はびくりと身をこわばらせ、悲鳴を上げた。

「きゃー!こないでこないで!やだ!怖い!!こわい!!!」

「立花さん落ち着いてください!俺です赤葦です!!」

赤葦は立花の両肩を掴んで声をかける。

ようやく立花は赤葦の顔を見た。

「あ、かあし、くん?」

顔は涙でぬれ、触れた肩は小さく震えていた。
赤葦はその姿を見て、よほど怖かったのかとハッとする。
少しでも安心させたくて、その背中に腕を回そうとしたが
距離を縮めた途端、彼女の表情が不安に歪んだので
静かに離れた。

(そりゃそうだよな……。)

「一体なにがあったんですか?ほかの二人は?」

赤葦は説明を求める。

「逃げる途中で階段から落ちて、足ひねったみたいで……。
日向君とリエーフ君は、わかんないけど、たぶんおいて……はぐれた。」

置いていかれた。そう言おうとして言い直したのが分かった。

(まったく、妙なとこ冷静だなこの人は。)
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