【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第12章 四日目 夜 (反省と誤解)
「でも、いまはまだ、その二人にはあんまり関わりたくないかなあ。」
立花が呟いた。
「ですよね。」
そう言って月島は引き返そうとしてから、思い出したように振り向いて言った。
「あの、こんな時になんですけど。
僕、残念賞より上、取りに行くことにしましたので。」
「え?」
「分からないなら、別にいいです。じゃあ。」
「あ、待って待って!分かるよ。分かる分かる!
ていうか、え?ほんとに?」
背を向けた月島の上着を掴んで引き止める。
「まあ、今のところですけど。」
「そっかあ。えー、なんかすごく嬉しい。
自主練始めたから、もしかしてとは思ってたよ?
でも、こうして報告してくれたことがすごい嬉しい。
ありがとう。」
立花は月島を見上げて笑顔で言った。
「なんで立花先輩がお礼言うんですか。」
「えー、なんでだろう?ふふ。」
ひとしきり喜んでから、立花は思い切り伸びをした。
「あー、月島君のおかげで、なんか元気出た!」
「そうですか。」
「じゃあ、行こうか。いじめっ子たちのところへ」
立花の意外な言葉に、月島が聞き返す。
「え?」
「元気になったら、なんだか悔しくなってきたし。」
「はあ。」
「それに、かわいい後輩のお願いを無下にするの気がひけるし。」
「いや、それはちょっと意味が……。」
「あ、でも乱暴されそうになったら助けてね。
腕力じゃ敵わないから。」
「それは僕だって同じですよ。」
二人は並んで歩き出した。