【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第11章 四日目 昼 (第三体育館組、やらかす)
数分後、赤葦が走って戻ってきた。
立花はだいぶ落ち着いた様子で、
さきほど落としてしまったタオルをたたみなおしていた。
「烏野のコーチに、伝えておきました。」
「ありがとう。」
「あの、立花さん。本当にすみませんでした。」
改めて赤葦が謝る。
「なんで赤葦君があやまるの?赤葦君は何も悪くないよ。
むしろ助けてもらったわけだし。」
「いえ、木兎さんがああいう性格なのを分かっていて、
事前に止められなかった俺にも非はあります。」
立花は、赤葦をしばらく見つめてから、口を開いた。
「大丈夫だよ。なんとも思ってないから。」
冷たくそう言い放つ。
「え?」
「なんとなく想像できるし。もういいよ。大丈夫。」
もっと穏やかに言うつもりが、本人もびっくりするほど冷たい口調だった。
赤葦が戸惑いの表情を浮かべる。
「え、それってどういう……。」
「赤葦君も、木兎君も、黒尾君も悪い人じゃないってこと。」
突然黒尾の名前が出てきて、赤葦はドキリとする。
「でも、さっきは本当にどうしようかと思ったから、
赤葦君が来てくれて助かった。ありがとう。」
立花はそう赤葦に言って笑った。
「あと、こういうこと、あんまりしないほうが良いよ。って、二人にも伝えといて。」
呆然とする赤葦を一人残して、立花は走り去った。