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【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)

第11章 四日目 昼 (第三体育館組、やらかす)


「立花さん、すみません。大丈夫ですか。」

赤葦が立花の前にしゃがみ込む。

立花は涙をぬぐいながら頷く。

「怪我はないですか、どこも痛くないですか。」

「平気……ちょっと、びっくりしただけだから。」

そう言う身体はまだ震えていたが、とりあえず怪我がないと知って赤葦はほっとする。

「俺、烏野の人、誰か呼んできます。待っててください。」

「あ、まって!」

立ち上がろうとした赤葦のシャツを立花が引っ張る。

「あ、ごめん……。
ええと、もう試合始まっちゃってると思うし、こんなことで心配も迷惑もかけたくないから……
でも、こんな泣き顔じゃ絶対ダメだし。
私、ちょっと具合悪くなったから外で休んでから行くって伝えてもらえるかな。
お手数かけて、すみませんが……。」

「でも……。」

「お願い。お互い、その方がいいでしょ。」

赤葦は、大事にしたくないという本心を見破られて、ギクリとする。

「分かりました。そのかわり、俺が戻るまでここにいてください。
うちのエースがしたこと、俺からちゃんと謝らせてください。お願いします。」

「……別にいいよ。」

「お願いします。」

目をそらす立花にむかって、赤葦は頭を下げた。

立花は赤葦のシャツから手を離して、黙って頷いた。

体育館に向かって走って行く赤葦の後姿を眺めながら、
立花はぼんやりと考えた。

(木兎君は私のことAKBって呼んでた。黒尾君もそう呼ぶ。
で、木兎君と赤葦君は同じ学校で……あー、なんとなく全部わかった気がする。)

「なんか……こういうのって辛いなぁ。」

立花は声を漏らした。
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