【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第11章 四日目 昼 (第三体育館組、やらかす)
「逃げんなって、別になにもしねえよ。
ていうか、俺のこと知ってんのAKB。」
「梟谷の人ですよね。何の御用ですか。」
立花はそれでも体育館へ向かう足を止めない。
「ねえ、ちょっと俺の話聞いてよ。」
木兎は立花の腕を掴んだ。
「いた…っ」
抱えていたタオルが地面に落ちた。
「うわ、ほんとに細いな。ちょっと力入れたら折れそう。」
木兎が驚いて立花の腕を眺める。
「離してください。」
立花が腕を振り払おうとするが、びくともしない。
「だって離したら逃げるじゃん。」
「それはあなたが追いかけるから。」
「ねえ、AKBさ、」
「立花です。」
「立花さんさ、あ、俺、梟谷の木兎っていうんだけど。」
「知ってます。なんですか。私、急いでるんですけど。」
「分かった分かった。
単刀直入に聞くけど、うちの赤葦、どう思う?」
「……は?」
立花は訳が分からず木兎の顔を見つめる。
「赤葦、分かんない?うちのセッター。」
「いえ、赤葦君のことは知ってます。」
「どう思う?」
「どうって?」
会話の噛みあわない二人。
「かっこいいとか、好きとか嫌いとか。
そういう何か、ない?」
「え。特には……。ていうか話したこともないですし。」
一体この人は何を聞きたいのだろうと、
立花は不信感を募らせる。
「でも赤葦は、AK…じゃなくて、
立花さんのこと気に入ってるみたいなんだよね。」
「……いやいや、ほんと、赤葦君とは話したこともないですから。
何かの間違いだと思いますよ。」
立花はそう言って今度こそ木兎から離れようとする。