【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第10章 三日目 夜 (ボーイズトーク)
その言葉に、真っ先に反応したのは田中だった。
「そんなん、潔子さんに決まってるだろうが!
いいか、潔子さんはなぁ、ただ美しいだけじゃないんだぞ……。」
得々と語り出す田中に、木兎が負けじと声を張り上げる。
「なあなあ、好みってさー、
見た目のこと?
付き合いたいってこと?
それとも単純にヤりたいってこと?」
「木兎さん、声が大きいです。
あと、口も慎んでください。」
赤葦が冷静にたしなめる。
「んー、まあその辺は各々の価値観に任せるけど。
じゃあ思いっきり気配を消して
話を振られまいとしているアホ毛くんから聞いてみようか。」
黒尾は意地悪く笑って、山口に言った。
「俺!?俺は……どうかなー。
そういうのは良くわからないですねー。パス!」
そう言って逃げようとする山口の襟ぐりを掴んだのは月島だった。
(今ここで山口に逃げられたら絶対に僕が標的にされる。)
月島も必死だった。
「ツッキーナイス。
さあ、パス厳禁。ここに来たのも何かの縁だと思って。」
「……勘弁してくださいよー。ツッキー助けて。」
「無理だね。」
「仕方ねえなぁ。
じゃあ、烏野の三人娘の中だったら、誰が良いんだ?
それならある程度かかわりがあるから選びやすいだろ。」
黒尾が助け舟を出す。
「おい山口、お前まさか
生意気にも潔子さんを狙って……。」
「坊主君イエローカード。次で退場ね。」
口をはさんだ田中にビシッと指を差して黒尾は言い渡した。
「僕、一発レッドでいいんで退場していいですか。」
「ツッキーは次に聞くからだめ。待ってて!」
木兎が月島の腕を掴む。
「ツッキーって呼ばないでください。」
無表情で拒む月島。