【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第10章 三日目 夜 (ボーイズトーク)
「だから、赤葦は白くて細くて弱そうな奴が好きなんだよ。
さっきのグラビアみたいなのだと、
端っこに写ってる地味めのタイプだとなおよし。」
木兎は力説する。
「あー、なるほどなー。木兎とは正反対だな。
お前はグイグイ真ん中に写りこんでる正統派が好きだもんな。」
黒尾はうんうんと頷く。
「黒尾は石原さとみだろ?年上好きだもんなー。」
「バカ野郎、石原さとみなめんな。
あそこまでかわいさと色気のバランスの優れた女はなかなかいない。」
嬉々として話をする黒尾と木兎とは裏腹に、
赤葦はあくびをかみ殺した。
(どうでもいい。そろそろ寝たい……。)
「そこでですよ、赤葦君。あの烏野のAKBはどうなのよ?」
「は?」
突然自分に話が振られ、赤葦は気の抜けた声を出す。
「さっきのグラビアの好みを見てやっぱり思ったんだよね。
おまえ、あの烏野のAKB絶対タイプだろ。」
木兎もそう言って詰め寄る。
「いや、ちょっと、言っている意味がよく……。」
「烏野のビデオ撮ってる女子だよ。
周りをよく見てるお前が気づいていないはずないだろ。」
「ああ。いましたね、そんな人。」
「で、どうなの。」
「どうって……。別に。名前も知りませんし。」
赤葦は頭の中で立花の姿を思い出しながら答えた。
「ほら!やっぱり名前だって!黒尾、聞いたんだろ、思い出せ!」
木兎が黒尾の背中をバシバシ叩いた。
「いてえよ。仕方ねえだろ忘れちまったんだから。
ちょっと待ってろ。使えそうな奴連れてくるから。」
そう言って黒尾は立ち上がった。
「木兎、赤葦逃がすなよ。」
「おう、任せとけ!」
木兎は元気よく返事して黒尾を見送った。