【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第8章 二日目 昼 (猛暑)
(あ、この匂い、知ってる。保健室だ。
学校の保健室。
授業中とか、朝礼の時とかに具合が悪くなってここにいると、
いつもこうちゃんが迎えに来てくれる。
だから、それまで安心してゆっくり休もう……。)
「あ。」
額に違和感を覚えて立花が目を開けると、
そこには馴染のない人物がいた。
(こうちゃんじゃなかった。)
立花が寝ぼけた頭で何を言うべきか分からないで見つめていると、
孤爪はオドオドと話し出した。
「あ、ええと。これ。クロがくれたから。
貼っといたほうが良いって言われて。」
立花は自分の額に冷却シートが貼られていることに気付いて礼を言う。
「あ、ありがとう。」
立花がベッドから起き上がろうとすると、
黒尾が保健室に入ってきた。
「おーい、二人とも大丈夫か?あ、起きたかAKB」
「クロうるさい。俺ちょっと寝るから静かにしてよ。」
孤爪が立花の隣のベッドにもぐりこんで言う。
「あ、こら研磨!お前もちゃんと冷えピタ貼れよ!」
「いいよ俺は。そんなに重症じゃないから。」
「だーめだ!ほら、こっち向け。」
「えー……。」
文句を言いながらも孤爪は黒尾に冷却シートを貼られた。
「あ、烏野のメガネのマネージャーには
お前がここにいること言っておいたからな。」
黒尾は立花を振り向いて言った。
「あ、ありがとうございます。」
「研磨に感謝しろよ?お前が倒れる寸前なの見抜いたの、
こいつだから。」
「クロ、そういうの言わなくていいから。
ていうか結局ここまで運んだのはクロだし。」
孤爪は布団から顔を出さずに言う。
「まあ、もうすぐ昼飯だけど、二人ともここで食べるだな。
あとで持ってきてやるから。
それまでちゃんと寝とくこと!」
そう言って黒尾は出て行った。
(変なあだ名つけるし、胡散臭いと思ってたけど、
そんなに悪い人じゃないのかなあ)
立花はベッドに横になりながら黒尾のことを考えていると
すぐに横から孤爪の寝息が聞こえてきたので、自分も目を閉じた。