【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第8章 二日目 昼 (猛暑)
一人でみんなの戻りを待っていた立花に、
聞き覚えのある声が飛んできた。
「おい、AKB!」
無意識に身構える。
「ちょっと一緒に来い。」
有無を言わさない勢いで黒尾に腕を引っ張られる。
「え。ちょっと……!」
立花は抵抗するが、体に力が入らない。視界がチカチカする。
(あ、これ、やばいやつだ……。)
立花がそう自覚したのと同時に、
黒尾の指が額に触れた。
「うわ、研磨の言うとおりだ。汗すごいしフラフラじゃねえか。」
そっと手の甲で汗を拭ってやりながら、黒尾が顔を覗き込む。
(あ……手、大きくて優しい。)
朦朧とする意識の中で、立花は黒尾を見上げた。
「保健室連れてってやる。歩けるか?」
「大丈夫。みんな戻ってきてから、自分で行くから。」
立花は黒尾の手から逃れようと身をよじるが、
当然黒尾は離さない。
「何言ってんだ、烏野の連中はまだ当分戻ってこないだろ。」
「でも、黙っていなくなったら、みんな心配する。」
「バカか。
こんな状態でウロウロさせとく方が心配だっつの。
俺からちゃんと烏野には伝わるようにするから。
ほら、行くぞ。」
立花は抱えられるようにして体育館から連れ出された。