【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第2章 菅原の憂鬱
「ええと、つまり、
来週の東京遠征合宿に、ビデオ撮影係として私に参加してほしい、
ということですか?」
一通り話を聞いた立花は確認するように言った。
「そうです。先日の遠征のときにも、烏野は他校に比べて明らかに力不足でした。
しかもここ最近は新しい戦術を取り入れようと試行錯誤していて、ますます未熟な点も多い。
この連日試合を行えるという合宿の環境を、より有効に活用するためには、
ビデオ撮影が適切ということになったのです。」
武田先生の言葉に、澤村が続ける
「本来ならマネージャーの清水や谷地に頼むのが筋なんだろうけど、
あの二人も初めての遠征合宿だ。
特に谷地はまだ入部して日も浅い。
ビデオまで手が回るとも思えなくてな。
誰か頼めそうな人がいないかと話し合っていたところだったんだ。」
「いや、俺らと違って、みーはもう完全な受験生なんだぞ。
いくらなんでも一週間も付きあわせるのは、どうかと思うけどなぁ。
なあ、みーだって予備校とかあっていそがしいよな?」
菅原はそう言って立花に同意を求める。
「うーん、まあ勉強は、別にいいんだけど……。
でも私、どんくさいから、そういうの、向いてないと思う……。
人がいっぱいいて、どんどん練習して、あれやってこれややって、っていうの、私、ついていけない気がする……。」
立花が自信なさげにつぶやくと、
菅原は思い出したように話し始めた。
「そ、そうだよ!
こいつすんげーどんくさいから!
体力もないし、何にもないとこで転ぶし、ドッジボールで骨折したこともあるんぜ!だからムリだって!」
ムリムリといつまでも言い続ける菅原に、さすがの澤村も呆れる。
「スガ、ちょっと落ち着け。お前なんか変だぞ。」
「え?いや、俺は別に……。
みーにはそういうの、無理なんじゃないかなと思ってだな……。」
「こうちゃん、うるさい。」
立花が静かに菅原を睨みつける。
全員が立花に目を向ける。