【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第7章 一日目 夜 (雨と猫と彼)後編
タオル越しに嗚咽が漏れる。
「どうしたー?さっきまで全然平気な顔してたべ?」
菅原はよしよしと立花の背中をなでてやる。
「暗いし、雷鳴るし、怖かった……。
こうちゃんの顔見たら涙出てきた。」
もごもごとくぐもった声を出す。
「どこも怪我はないんだな?なにもされてないな?」
立花は黙って頷く。
「なんともなくて良かったよ。ほんと。
大丈夫、もう雨も上がってるし雷もやんだ。
ほら、みんなのとこ戻るべ。もう電気も回復してるし。
ごはん食べよう。」
立花は頷いて顔を上げる。
「やっぱり来ないほうが良かったか?」
菅原にそう言われて、立花はブンブンと首を横に振る。
「そんなことない!あのね、潔子ちゃんにね、美和ちゃんって呼ばれたの!
嬉しかったー。仲良くなれたらいいなぁ。」
「よかったなー。鵜飼コーチも、お前のことほめてたぞ。
予想以上に仕事ができて助かるって。」
「ほんとー!?」
嬉しそうに声を上げた。
足元の猫に目を向けて、立花は言う。
「あ、猫……部屋に連れてったらだめだよね?」
「それはだめだなぁ。
この辺の野良だろ。外に放してやんな。」
「うん。」
二人で倉庫を出たところで猫を放った。
「もうこんなとこに入っちゃだめだよ。」
猫はすぐに走って行ってしまった。