【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第7章 一日目 夜 (雨と猫と彼)後編
「もしもし、こうちゃん?」
「あ、みー?大丈夫か?」
「うん。平気だけど……どうかした?」
「それがさ、さっきの雷で停電しちゃって。
今こっち軽くパニックなんだわ。
倉庫のカギを持ってる森然のコーチも見つからなくて、もう少しかかるかも。大丈夫か?」
「あ、そうなんだ。
私は大丈夫だから、こうちゃんも気を付けてね。」
「?ああ。なんかやけに元気だな。」
「月島君が一緒にいてくれてるから。」
「……月島にちょっとかわって。」
立花に電話を渡されて、月島が話す。
「もしもし菅原さんですか?」
「ああ。悪いな、迷惑かけてるみたいで。」
「いえ。そっちまだかかりそうですか?」
「今みーにも説明したんだけど、こっち停電しちゃってさ、もう少しかかると思う。
そいつ、暗いとこも雷も苦手だからくれぐれも……。」
「でしょうね。慌てて僕にしがみついてくるくらいですからね。」
その言葉に立花も顔を赤くして反論する
「ちょ、月島君!そんなこと言わなくていいでしょ!?」
電話の向こうの菅原も慌てて月島に呼びかける。
「月島!お前はそんな奴じゃないだろ!
もし何かあったら大問題だからな!烏野高校バレー部に深い溝が……。」
「なにもしてませんよ。
僕は文字通り指一本触っちゃいません。安心してください。」
「……。」
「じゃあ、待ってますんで。
あ、でもあんまり遅いと指一本二本三本くらいはあり得るかも…。」
「全力で急ぐから大人しく待ってろ!」
そう言って電話は切られた。
「月島君ってそんなキャラだと思わなかった。」
「早く迎えに来てもらった方が良いかなと思ったので。」
月島は無表情でそう答えて立花に携帯を返した。