【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第6章 一日目 夜 (雨と猫と彼)全編
「立花先輩、起きてください!」
月島の声に、立花は目を開いた。
「あ、ごめん寝てた……。」
「携帯鳴ってましたよ。メール来たんじゃないですか。」
床に置いてある携帯がチカチカと光っていた。
立花はそれを手に取って急いで確認する。
「こうちゃんが、
迎えに行くからもう少し待ってなさいって。」
そう言って、立花は月島に携帯を見せる。
月島は立花の近くにしゃがんで画面を見る。
確かに菅原からのメールにはそう書いてあった。
「なんか……あっさりしてますね。」
「そうかな?」
「もっとこう、立花先輩のことすごい心配してるイメージだったんで、意外でした。
別に、いいですけ……」
その時、
真っ暗だった倉庫に、小さな窓から強い光が差し込む。一瞬の後、激しい雷鳴。
「きゃぁぁ!?」
突然の雷に、立花はびっくりして飛び上がる。
思わず月島の腕にしがみつくも、
「あ、ご、ごめんなさい!」
はっとしてすぐに手を離す。
抱かれて眠っていた猫も驚いて近くの物影に身を隠す。
「あ、な、なに今の……雷?」
「ですね。近くに落ちたかも。」
もう一度、稲光と雷鳴を浴びると、立花はまた悲鳴をあげ、
月島にしがみつこうとし、そんなわけにはいかないと我に返っては腕を引っ込めて、
一人ソワソワとしていた。
見かねた月島が声をかける。
「あの、少し落ち着いてもらえません?
腕くらいならつかまっててもいいんで。」
「え、あ、でも……。」
立花はパニックになった頭でどうしようか考えていたが、
再度追い打ちをかけるように雷が鳴ると、
今度こそ月島にがっしりとくっついた。
「すいません、お言葉に甘えて……。」
「別に、雷くらいでいつまでもうるさくされるよりはマシです。」
「……すいません。あ、猫びっくりさせちゃったね。」
立花はそういって立ち上がり、猫を抱えて月島の隣に戻ってきた。