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【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)

第6章 一日目 夜 (雨と猫と彼)全編


「これ、よかったらどうぞ。」

月島がジャージを差し出す。

「多少濡れてますけど。ないよりはマシですよ。」

「あ、でも月島君は……大丈夫?寒くない?」

「少なくとも震えてる先輩よりは大丈夫です。
昼間も言いましたよね?自分の体調くらい自分で管理してください。
ここで僕に気を使って明日風邪でもひかれたらそっちの方が迷惑ですから。」

「あ、ありがとう……。」

素直にジャージを受け取ってお礼を言う。

苦手な月島のキツイ言葉。いつもなら萎縮してしまう立花だが、
今は不思議と怖くない。

少しずつ彼女も月島の性格を理解してきたのかもしれない。

「あと、この猫。寝そうなんですけど。どうしたら良いですか。」

「あ、こっちちょうだい。私抱いとく。」

立花は急いでジャージを羽織り、猫を抱えた。

「えへへ。あったかい。」

月島が少し離れたところに腰を下ろした。

暗くて表情は分からない。怒っているのだろうか。

「月島君、ごめんね。
なんか、大変な目に合わせてしまって。」

「別に。部屋に戻っても寝るだけでしたから。
ここで休んでもそう変わりません。」

嫌味の一つでも言われるかと覚悟していた立花は、
完全に不意を突かれてしまった。

(あー、これは、山口君が月島君のことを慕っている理由もちょっと分かるかも。)

立花はふふっと笑った。

「菅原さんから連絡きたら教えてください。
僕ちょっと寝ますんで。」

「あ、うん。わかった。」

立花は猫をつぶさないように気を付けながら身を小さくした。

(暗いところ、苦手。)

外では雨の音に混じって雷も近づいてきているようだった。

(こうちゃん、はやく迎えに来て……。)

弱気になりそうな気持ちを紛らわすように猫をそっとなでた。
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