【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第6章 一日目 夜 (雨と猫と彼)全編
「いた!いましたよ、立花先輩。」
倉庫の隅、濡れて丸まっている白い猫を発見して月島が声を上げる。
「あ、ほんとだ。こんなとこにいた。こっちおいで。ほら。」
そっと立花が手を伸ばす。
子猫は観念したようにおとなしく立花の腕に収まる。
「すごいびしょびしょ…。
とにかく、一回部屋に連れていって……。」
「立花先輩、まずいですよ。」
出口の方で月島が焦った声を出す。
「え、どうしたの?」
立花が走り寄る。
「倉庫、鍵かけられてます。」
「え!どうして!?」
「きっと開けっ放しになってると思って誰かが閉めたんです。
この雨の音でお互いに気付かなかったんですね」
「うそ……。どうしよう。」
暗い倉庫の中で、二人はしばらく黙ったまま立ち尽くした。