【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第6章 一日目 夜 (雨と猫と彼)全編
校庭の脇を走っていると、何かの気配を感じて立ち止まる。
(いま、なにかいた……?)
暗闇の中を、白い猫が歩いているのだった。
「あ、あの子。昼間みた子だ……。」
そっと近づこうとしたが、こちらの気配に驚いた猫は、
ぴょんと倉庫の中へ入って行ってしまった。
「あ、そんなところ入ったら危ない……。」
「立花先輩?」
猫を追おうとした立花に、走ってきた月島が声をかける。
体育館から部屋に戻ることろのようだ。
ジャージを雨除けにしているので立花よりは濡れていない。
「何してるんですか、こんな雨の中。」
「あ、ええと。猫が。倉庫に入って行っちゃって。」
「猫?」
倉庫に走り寄る立花の後を月島が追う。
「ほんとにいたんですか?こんなところに猫なんて。」
とにかく雨から逃れるために二人とも倉庫に足を踏み入れる。
「うん。昼間も見たの。白い子猫。
こんなところ、何か倒れてきたりしたら危ないよ。
出してあげないと。」
月島はさすがに放っておくのも気が引けて、
立花に付き合って猫を探す。
「電気は……切れてるのか。仕方ないな。」
暗い中で二人はごそごそと動き回る。
外の雨が屋根にあたる音が倉庫中に響いていた。