第6章 一日目　夜　（雨と猫と彼）全編

一日目の練習終了。
とはいえ、まだまだ練習の物足りないメンバーは自主練へと入っている。

烏野のメンバーはほとんどが自主練参加組だ。

立花は、清水と谷地と一緒に練習を引き上げてきた。
女子は他校と相部屋だ。

「うわー、すごい雨ですね。」

谷地が外を見て言う。
真っ暗の外で、ザーザーと雨の音がする。

「遠くで雷も鳴ってる……。こっち来るかな。」

他校のマネージャーも不安そうに外を見る。

「私、ちょっと出てくる。」

立花がパソコンを閉じて立ち上がった。

「え？この雨の中？どこ行くんですか？」

谷地が心配そうに声をかける。

「ＤＶＤ月島君に頼まれてたから、渡してくる。」

そう言ってケースに入ったＤＶＤを見せる。

「私も一緒に行こうか？」

清水も立ち上がろうとしたが

「ありがとう、でも一人で大丈夫。すぐ戻ってくるから。
じゃあ、ちょっと行ってくるね。」

立花は、そう告げて部屋から出て行った。

分かっていたとはいえ、外は土砂降りだった。

「昼間は晴れてたのにな……。」

そう呟いて、男子たちの部屋に向かおうとしてふと思い出す。

「あ、自主練かな？」

体育館へ向かうには、多少外を歩かなくてはならない。

「あ、傘ない……。少しだし、まあいっか。」

立花はＤＶＤが濡れないように気を付けながら雨の中に走り出した。