【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第5章 一日目 昼 (変なあだ名と赤葦の○○○疑惑)
烏野のメンバーが体育館から出て行ってから、黒尾は木兎に毒づく。
「ったく、俺すごい損な役回りじゃねえ?」
「え、何の話?」
「木兎が、あのAKBのこと気になるっていうから声かけてやったんじゃん。
そしたらメガネくんに嫌われるし、烏野の副主将にも妙な疑いかけられるし。俺もう心折れそう。」
そう言って落ち込んだ表情を見せる黒尾。
「で、そのAKBの名前は分かったのか?」
「あー、えっと、なんだっけ。聞いたけど忘れた。」
「なんだそれ。お前実は興味ないだろ!」
そう言って木兎は笑った。
「俺は烏野ならあのメガネ美人のほうがタイプなの。
でもあのAKB、副主将と異様に仲良さげだったからなー。
木兎の出る幕じゃないかもな。」
「まじかー。赤葦が好きそうと思って目を付けたのに!」
「赤葦かよ!?」
こそこそと話し続ける二人に、
「俺がどうかしたんですか?」
後ろから赤葦本人が声をかける。
「げ!!あ、赤葦!?」
木兎が飛び上がって驚く。
「あ、ねえねえ赤葦。赤葦ってAKBがタイプなの?」
黒尾が興味深々で質問する。
「は?木兎さんがそんなこと言ったんですか?」
「ちがうちがう赤葦誤解!誤解だから!!」
「姿が見えないと思って探しに来てみれば、
そんなくだらない話をして盛り上がってたんですか。」
「だから誤解だって、赤葦怒んないで!」
「怒ってません。呆れているんです。」
「で?赤葦はAKB好きなの?
ドルオタってやつ?ロリコン?」
面白がって黒尾が赤葦に再度質問する。
「その質問は、今、答える必要がありますか?」
無表情ながら、強烈な不機嫌オーラを出す赤葦に、
さすがの黒尾も口を噤む。
「あ、そろそろ俺戻るわー。じゃあね木兎、赤葦。」
「あ、黒尾逃げやがったな!おい!!」
「木兎さんも、休憩終りですよ。
あんまりふざけてると、俺もうトスあげませんから。」
「あ、待ってごめんって。赤葦!俺ちゃんとするから!!」
木兎は慌てて赤葦の後を追った。