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恋愛玩具

第1章 プロローグ



彼越しに目に入ってきたのは部活を終わらせて戻ってきた咲綺だった
もちろん咲綺も私たちの状況を見て目を丸くしている

それはそうだ...
雨宮くんがいる上に、窓に手をついた彼とかなり密着しているのだから...

「さ...咲綺!」

(この状況はヤバイけど助かったかもっ!)


「...雨宮、くん?」

咲綺はいまいち状況を理解していない様子で彼の名前を呼んだ

確かに...私が咲綺だったとしても同じ反応をするだろう

「椎田さんの友達?」

スッと窓から手を離した雨宮君は咲綺へと体を向けると、いつものように微笑んだ

「は...はいっ」

「そう...」

私から離れると咲綺へと近づく雨宮君

(まさか咲綺にまでっ…――)

咲綺へと向かう彼を止めたくても怖くて足が動かない

「椎田さんと一緒に帰る約束してたとか?」

「は、はい。いつも一緒だから...」

「そっか...それじゃあ悪いんだけど」

チラリと私を見る瞳が冷たい...
口元だけ微笑んでいる彼を見て、体を強張らせた

「実は、椎田さんに生徒会のこと少し手伝ってもらってたんだ。一緒に帰るなんて知らなくて...ごめん。まだ少し残ってるし、今日は椎田さんを俺に譲ってくれないかな?」

さっき私に見せた姿はどこへ消えたのか...
雨宮君は柔らかい微笑みを咲綺へ向けた


(こ...この人!二重人格!?)

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