第16章 動き出した運命
目を開けると白い天井が目に入った
独特のにおいに、ここが病院だとすぐに気づく
上体を起こそうと動いた瞬間
左腕の鋭い痛みに、思わず呻きを上げた
「......夢じゃ、ないのか」
ぽつりと呟いた言葉が虚しく響く
夢から覚めるたび
何度今まで起こった全てが夢だったらと思ったことだろう
淡い期待は幾度となく打ち砕かれ、虚無感が心を蝕んでいった
なんとか体を起こし、深く嘆息した瞬間
静かに扉が開かれた
開いた扉の先に立っていた相手を見ると、恵はぐっと眉を寄せる
「...璃央」
泣き腫らした瞳で恵を見つめる璃央の後ろには葵が立っていた