第3章 現実逃避
「ねー、あゆ聞いてる?」
「...あ!今日さ、体育でバレーするんだけど、私って昔から球技苦手でしょ?だから...」
「話逸らさないでよ!雨宮君と昨日何してたの?」
そう...
さっきからずっとこの調子だ
(せっかく人が忘れようとしてるのにっ...)
「何って別に...雨宮君が言ってたように手伝ってただけだよ」
「手伝ってたって何を?」
「......資料の、整理」
「そんなの生徒会の人がやればいいじゃん。なんで関係ないあゆが手伝うの?」
咲綺は気になった事は納得するまで聞いてくるからなあ...
私がこんなに困ってるのも
すべて雨宮恵のせいだ!!
「ねー、あゆ?」
「...皆もう帰っちゃったんだってさ。そしたら私がいたから手伝ってもらおうって思ったらしくて...」
チラッと咲綺を見れば顔をしかめていた
「さ...咲綺?」
「...怪しい」
「は?え?何処が?全然!まったく怪しくないから!!」
やってしまった...
こんなに否定したら明らかに怪しすぎる...
引きつった笑顔が自分でも痛々しい
咲綺は私の顔を覗き込むと首を傾げた
「んー、そっか...」
(え!納得したの?よかったぁ!!)
もうすぐ学校に着くから早く咲綺から開放されて...
「でもさ、私が教室行った時、チューしそうじゃなかった?」