第13章 崩れゆく嘘[上]
満月が浮かぶ夜空を見て、1人微笑む人物がいた
窓を開け夜風を体に浴びると深く息をついた
「あと、4日...」
ふと呟いた言葉に胸の高鳴りが止まらない
ずっと昔から思い描いたものがやっと叶う...
これからはずっと恵と一緒にいられる
そう思うだけで心は満たされ、日本を発つ日が待ち遠しくて仕方が無い
心地好い風に目を閉じると、今日会ったあゆの姿が浮かんだ
自分の言葉に愕然とした彼女の表情を思い出す
思えば...昔から”あの子”に邪魔されてばかりだった...
「梨奈...」
梨奈がいなくなったと思ったら、今度は椎田あゆが恵の近くにいた
”...璃央様。もう、あの時の様な事を起こしてはなりません”
パーティーの後、葵に言われた言葉を思い出す
あの時の事は今でも脳裏に焼きついてる
璃央はゆっくりと左頬のガーゼを撫で目を閉じた
梨奈の最期を見ていたのは、私だった...